最終更新日 2025年4月25日
1.資源獲得には膨大なコストが必要とされている
原子力発電所には色々な利点があり、第一に挙げられるのが大規模な電力を安定的に得られるメリットです。
様々な発電の方式がありますが、今現在において最も発電効率が良いのが原子力となります。
燃料はウランであり、いわゆる化石燃料に比べて安定的な確保が容易です。
化石燃料は政治情勢や国際的な経済環境によって価格が左右されます。
そのため安定的な供給が元々難しい燃料であり、確実に輸入するためには膨大なコストを常に支払わなければいけません。
さらに石油が採掘される地域は政治面が不安定になりやすく、昨年までは安定的に取引が出来た場所が、突然取引中止になったり原油価格が政治的な背景で高騰するなど、不確定要素が多いのです。
石油資源は埋蔵量が限られており、各国が熾烈なエネルギー獲得競争を展開しています。
日本や米国だけではなく、最近は急速な勢いで経済発展を遂げるアジア諸国がそこに参入して来ました。
不景気に苦しむ日本国内に比べて、経済成長が著しい中国やアジアの発展途上国の方が化石燃料に対して大規模な投資が可能です。
既に日本は世界第二位の経済大国ではありません。
既に中国にその座を明け渡しており、後続のアジア諸国にいつ追い抜かれるか分かりません。
石油や石炭などの資源獲得の競争に打ち勝てる実質的な経済力が、今日の日本にはないのが実情です。
2.日本に必要な発電量と発電コスト
ウランは政治的に平穏な地域に、主に埋蔵されています。
今現在の日本でも安定供給が可能な資源であり、費用対効果にも優れています。
更に他の燃料に比べて素晴らしい長所があり、それはウランの場合、再使用が可能になる点です。
再処理のプロセスを経る必要がありますが、一度役目を果たした燃料を再びリサイクルする事が出来るのは、他の資源にはないメリットであり、要するに原子力発電所は低コストで持続可能な発電が可能です。
次の原子力発電所の特筆すべき利点ですが、資源の値段が比較的安価でリサイクルも可能なため、他の発電方法に比べて圧倒的にコストパフォーマンスが高く、政治情勢や経済情勢の悪影響も受けづらいため、大手電力各社が安価な電気料金で市民にサービスを提供出来ます。
発電に必要なコストが太陽光発電や水力発電、地熱発電や風力発電など、他の方法に比べて非常に安価であり、自然環境によって発電量が不安定になるデメリットがありません。
俗にいうところのクリーンエネルギーは確かに新しい画期的な方式です。
しかし、日本の国のような大都市を複数抱える先進国において、メインの発電方法に位置づけるのは現実的に困難といえます。
例えば太陽光発電や風力発電ですが、双方とも太陽光と風といった文字通り自然由来のエネルギーが材料となります。
一件すると無尽蔵に得られる太陽の光と列島に吹き込む風を使うため、常に高い発電量が得られるように思われますが、実際は正反対です。
曇りや雨や雪など天候不順に見舞われるとソーラーパネルは発電が実質的に出来なくなります。
晴天の時期が非常に多い海外の土地ではソーラーパネルは高い発電量が得られるものですが、ご存知の通り日本列島には四季があり、雨天が続く雨季や激しい台風が頻発する夏や秋があり、残念ながら太陽光発電の効率を引き出せません。
3.電気料金の高騰と今後の電力事情とは
風力発電に関しても同様であり、日によって風の勢いは変わります。
無風では発電量は実質的にゼロとなり、反対に台風や竜巻のような強力過ぎる風に見舞われると今度は風力発電の設備自体が破損します。
福島原発の事故は日本全体に、そして世界に強力なインパクトを与えました。
先進国において原発がメルトダウンに至る事故を起こした事例は未曾有です。
元々は東日本大震災によって起因した福島原発の事故、津波被害と地震による打撃、現場の指揮系統の混乱やバックアップ体制の未整備、時の政権による人災による負の面など、複合的に色々とネガティブな要素が複雑に絡み合って発生しました。
福島原発の事故後、日本列島の各町では相次いで原発の停止や再稼働のストップがなされましたが、科学者や識者からは疑問の声が投げかけられています。
確かに福島原発の事故は甚大なものであり、世論を考慮すれば一定の時期、各町の原子力発電所を停止させる事は、言わば合理的な決断だったともいえます。
一方で既に福島原発の事故から長い月日が経過し、その事故原因や発生した被害の全容が分かって来ました。
幸運な事に一時指摘された程の被害がなく、特に放射能による健康被害や食品への汚染は確認されておらず、残された課題は風評被害の払拭と今後の電力事情となります。
前者は農業関係者や漁業関係者が真剣に取り組んでおり、献身的な努力が実を結び大幅に風評被害は鎮静化してきました。
問題は今後の日本国民の判断です。
ソーラーパネルや風力発電が一時脚光を浴びましたが現実的に主な発電方法には採用出来ず、各地の原発停止によって電気料金は高騰の一途をたどっています。
安価な電気料金に引き戻すためには、国民が福島原発の事故を冷静に受け止め、言わば原発を「正しく恐れる」観点を持ち、再稼働に向けて粛々と作業を進めていく他ありません。