来るべき大地震から住宅を守る耐震構造について

最終更新日 2025年4月25日

耐震についてキーマンとともに考える

例え自分の敷地であっても、家を建てる時は守らなければならない基準というものがあります。
「建築基準法」には「耐震性」に関する内容もあります。

大地震はいつか必ず発生しますが、この基準を守ることで、地震に対しての一定の安全性が確保されます。
地震が多く発生するほど、住宅の安全面に不安を抱える人が多くなっていきます。

ニュースなどで耐震や免震、制震といった言葉をよく聞くようになっても、それぞれの違いをはっきり理解している人はあまりいません。
違いを一言で表すと「構造の違い」になり、その目的も異なります。

耐震構造は建物が強い揺れに耐えられる構造で、筋交いなどの入った耐力壁を用いたり、補強金物で補強して抜けないよう強固にします。
揺れに抵抗できるよう面で支えるイメージで建物を地震から守ります。

免震構造や制震構造は、しっかり地震対策が施された状態の建物にさらに装置を取り付け、揺れのエネルギーを吸収するというものです。
揺れを吸収するので、建物の軽い損傷まで防ぐことができます。

免震構造は、建物と基礎の間が直接固定されないよう装置を取り付けることで、揺れのエネルギーを建物に伝わらないようにします。
制震構造も同様に、壁に制震装置を取り付け、振動を吸収して軽微な損傷も予防します。
制震構造は免震構造よりも安い費用で導入できるとされています。

住宅性能表示制度とは

建てる家がどの程度の揺れに耐えることができるのか、客観的に知ることができる制度があります。
住宅性能表示制度というもので、国の定めた統一基準を元に10個にわたる分野の性能を評価機関が評価するものです。

地震に耐えられる性能については、1〜3の等級に区分され性能の高さを表します。
等級1が建築基準法をクリアしているレベルであり、等級3が最高等級になります。

等級1は、数百年に1度程度に発生する地震があっても大丈夫だという性能を示します。
等級2は等級1の1.25倍の力、等級3は等級1の1.5倍の力でも大丈夫だという性能を示しています。

この住宅性能表示制度を利用するには、建築会社に申し出て評価機関に申し込む必要があります。
利用料は設計・建築段階の評価を合わせ、約15万です。

過去に発生した大震災から分かったことですが、地震から建物を守るポイントとなるのは「地盤と基礎、建物」の構造だと言われています。
より安全性の高い住宅を確保するにはまず徹底した地盤調査を行い、脆弱な場合は必要な対策を行ってから建てることが大切です。

地盤の弱点をカバーできる基礎にすることが大きなポイント

地盤はその上に基礎や建物が載りますので、それらを支えることができる強度があるかどうかがポイントとなります。
また、その場所の地盤に合わせた基礎を作ることです。

基礎は地盤と建物を繋ぐ重要な役割を担っていますので、地盤の弱点をカバーできる基礎にすることが大きなポイントです。
建物自体も、基準をクリアする範囲内で壁量を確保し、バランスの良い配置が非常に重要となります。
強い揺れに対し、粘り強く耐えられるような造りにする必要があります。

建物を揺れから守るために押さえておきたいポイントは、「建物は軽い方が揺れに強い」ということです。
建物が重いというのは人間で言うと頭が重い状態であり、屋根が重いとそれだけ揺れやすくなります。

金属製の屋根は0.5t、最近よく用いられるスレート屋根材は1.5t、瓦屋根に至っては3tもあるとされています。
建物の重さは地震の力を左右します。

地震の発生によって建物が受ける地震力を計算するには、「層せん断力係数×当該階より上の建物の重さ」という式に当てはめますが、建物が軽いほど地震に対する影響が小さくなります。

耐力壁はバランス良く配置しなければならない

家の建築材料の中で軽いのは木造だと言われており、軽量な木造住宅でしっかりとした構造で建てると、地震に対して非常に性能の高い建物に仕上げることができるでしょう。

また、木造住宅では耐力壁は多ければ多いほど良く、大地震が起こる度に住宅の耐力壁の必要量は改定されてきました。
ただ、耐力壁はバランスが重要であり、バランス良く配置しなければなりません。

一部に集中しているようでは、手薄な箇所から被害を受けてしまうケースがあるためです。
築年数の経過した住宅の場合、特に地震に対しての不安感は強くなります。

もし1981年以前に建てられた建物であれば、地震に対する備えに問題があると想定できるためです。
1978年の宮城県沖地震を受け、1981年6月1日に耐震基準の大幅な改正が行われ、大きなターニングポイントとなりました。

それ以前に建てられた場合は新耐震基準をクリアしていないため、来るべき大地震に耐えられるかどうかが分からないという不安があります。
もし1982年に建てられたとしても、市町村に建築確認申請を行いOKが出たのが1981年以前であれば、旧耐震基準の建物となります。

竣工年ではなく建築確認済証の交付日をチェックしなければなりません。
また㈱キーマン曰く、木造住宅については1995年の阪神・淡路大震災の経験から、2000年以降により強固にする改正が行われたため、2000年6月1日以降に建築確認済証が交付されていればさらに安心です。

参考:㈱キーマン