最終更新日 2025年4月25日
年金の制度内容を知ることが人生設計に必要
必ず来る老後ですが老後の糧として年金収入は大切なものです。
この制度の意味は理解していても、理解されていないのはこの制度の内容でしょう。
この制度には老齢年金などの公的なもののほかに企業や個人など私的なものもあります。
この制度内容を知ることで、余裕のある人生を送れるはずです。
年金は保険料をきちんと支払ってきた人が決められている要件に該当したときに支給されます。
それでは年金はどこからもらえるお金なのでしょう。
公的なものの場合は国ですが企業の場合には厚生年金基金や会社が委託している生保・損保会社や金融機関であり、個人のものでは契約先の民間金融機関や郵便局などとなっています。
つまり通常は保険料を支払っている先から支払われるのです。
この制度は管理運営を誰が実施しているかによって公的・企業・個人の三つの種類に分類されます。
この制度の中で基本となっているのが国が管理運営している公的なものです。
全国民が共通している1階部分である基礎的なものが国民。
企業などに勤務している人の2階の部分が厚生保険。
公務員や学校の職員などの2階部分のものが共済です。
公的なものを補ったり退職金の支払いを軽減したりする目的で企業がその会社に勤める人の、福利厚生として行っているものを企業といいます。
平成27年10月1日から厚生と共済が厚生に統一されました。
公的年金の種類と個人年金
公的なものと企業のほかに老後の資金が不安な人、公的や企業のものでは足りないと思う人が自分の選択で加入する私的なものが個人です。
基金や個人型確定拠出のほか生命保険会社や損害保険会社などが営利目的で行っているものです。
公的なものは年を取った時や障害の状態になった時、不幸にして死亡したときに国がお金を支給しその人および家族の生活を守ることを目的としている社会保障です。
公的なものは国民・厚生・各共済組合の三つに分類されています。
国民はすべての人を加入対象として、全国民共通の基礎的なお金を支給し厚生や各共済組合は、サラリーマンや公務員を加入対象として基礎的なお金に上乗せする形で給与に比例したお金を支給するものです。
公的なものでは若年人口の減少や長寿化に応じて給付水準を調整するマクロ経済スライド制が導入されています。
これは他の企業や個人にはない、特徴の一つと言えます。
日本で最初の年金は明治時代の軍人を対象とした恩給です。
その後公務員対象の恩給法ができました。
一般の労働者は昭和14年の船員保険法の制定により海上労働者を対象とした制度が設立されその後昭和17年にブルーカラー対象の法律が、施行されました。
そしてこれは昭和19年に女性やホワイトカラーにも対象を広げた法律に改定されました。
全国民を対象にしたものは昭和36年の法律が施行されてからで、これ以降国民が全部加入する制度となりました。
年金受給権の仕組み
また20歳以上60歳未満の人が強制加入となったのは昭和61年からのことです。
その時から全国民共通の基礎をベースにして厚生や共済から給与に比例したお金を上乗せする、いわゆる2階建て構造になって今日に至っています。
公的なものは加入している人や会社から保険料を徴収し、それを主な原資とし給付要件に該当した人に支払っています。
この方式を保険方式といいます。
また老齢をもらう人の原資を若い現役世代の人たちの保険料で賄っていくという仕組みを、世代間扶養といいます。
世代間扶養を維持するためには、現役世代が全員強制加入し保険料を確実に支払っていくことが必要となります。
国民の保険料を自ら納めなければならない人は退職した人、自営業の人、学生、フリーターなどで20歳以上60歳未満の人です。
サラリーマンたちは給料から天引きされている厚生保険料や共済の掛け金の中から、国民の保険料を支払っていることになります。
主婦の人は国民には加入していますが保険料は自分では支払わなくてもよく、全国のサラリーマンが専業主婦たちの保険料を支える仕組みになっているのです。
公的なもののうち国民は20歳になった人はみな強制加入となります。
会社で厚生保険や共済組合に入っている人や夫に扶養されている奥さんなども、国民に入っているのです。
サラリーマンや専業主婦の人たちは、自分が国民に入っているにもかかわらずそのことを知らない人が多いようです。
このことはこの制度がいかに理解されていないかを物語っています。
加入というのは今までに国民に加入したことのない人が初めて国民に加入することを言います。
会社を辞めるなどして第二号被保険者や第三号被保険者が第一号被保険者になるときなどは種別変更と呼ばれます。
国民の加入時期は被保険者が、第何号に該当するかにより違ってきます。
会社に勤務していた人が60歳未満で退職すると、国民の種別が変わります。
勤務中は国民の第二号被保険者でしたから退職後は国民の第一号被保険者へ種別が変更になります。
手続きは退職日の翌日から14日以内に、住所地の市区町村役場の担当窓口に変更届と手帳資格喪失証明書を添えて提出します。
この届を怠ると受給権に影響を与えることがあるので注意してください。