最終更新日 2025年4月25日
賃貸契約について
賃貸物件を借りる時には、家主と借家人は賃貸契約を結びます。
希望通りの物件を探すには苦労しますから、望みの物件に入居できるとなったら安堵のあまり、賃貸契約書の内容をほとんど気にすることなく契約することもあるでしょう。
契約の際には、たいていは不動産屋になりますが、契約内容を丁寧に説明するはずです。
しかしいかに丁寧であっても、右も左もわからない素人ですから、内容を把握するのは困難です。
そのときにうわの空でも仕方がない面はありますが、そこから退去しようと考えたときには、しっかりと賃貸契約書を読み込むようにしましょう。
現在は、賃貸市場は物件余りの加速によって、徐々に借り手市場になりつつあります。
そのため、ひどい契約内容になっているというケースは少ないでしょう。
家主は強気ではいられなくなり、空室を出さないため、あるいは空室期間をできるだけ短くするために、借り手に好まれるよう気を使うようになっています。
以前はそうではありませんでした。
住宅不足がずっと続いており、部屋が空いてもすぐ埋まるものでした。
礼金が入るため、家主はむしろ現在の住人が退去して、新しい入居者が入ることを願っていたものです。
回転率という考え方がなされることもありました。
借り手は家主の顔色をうかがうようなところがあった
別に退去してもかまわない、退去してもらったほうが儲かるという構図があったため、借り手は家主の顔色をうかがうようなところがありました。
礼金も契約更新料も、家賃の値上げも、家主が一方的に決めるものであり、それに異を唱えることなど考えもつかなかったものです。
近しい関係にある相手ともめたくないというのもありますが、需給関係がそうさせたという面もあり、なによりも借り手が自身の持つ権利というものをまったく知らなかったから、というがありました。
実は需給関係がどうであれ、借り手は法律では手厚く保護されています。
しかし、仲介役となる不動産屋は100%家主の味方です。
家主の身内のような立場の不動産屋を仲介者として頼るしかない借り手の立場が守られるわけはありません。
インターネットがなかった時代は、多くの借り手が、不動産屋の言い分がすべてだと考えるしかありませんでした。
賃貸契約書には、法律に反しない内容が書いてあります。
その契約書に基づいて何らかの主張をしても、プロ中のプロの不動産屋に言いくるめられるのが常です。
右も左もわからない借り手が、太刀打ちできるわけがありません。
原状回復費用を家主と争うことができるということを知った
そんな時代にも、裁判で主張する借り手はほんのわずかではありますが、いました。
裁判では、たいてい借り手の主張が通りました。
法律では借り手の立場が手厚く保護されていますから、粛々と判断して行ったらそうなるでしょう。
そのおかげでしょう。
争いの多かった原状回復費用について、国がガイドラインを出すに至りました。
ガイドラインが出たことの意義は大きいです。
このことで、原状回復費用を家主と争うことができるということを知った借り手も多いでしょう。
それまではほとんどの借り手が、不動産屋の言うとおりに支払うしかないと考えていたはずです。
礼金以外にこの面からも、回転率ということが言われていたのでしょう。
賃貸契約書には、退去時に負担する費用についての記載がある場合があります。
署名捺印した以上、契約書の内容には従うしかないと諦めがちにもなるでしょうが、法律に反した内容なら、無効となります。
不動産屋が読み上げて念を押して、その上で署名捺印したとしても、民法と借地借家法に反した内容なら無効です。
民法と借地借家法の内容は違っていることもあります。
その場合は借地借家法に書いてある通りになります。
民法よりも、借地借家法が優先されます。
退去時の負担の取り決めに疑問を感じたら、法律に反していないか、インターネットで調べましょう。
契約書をよく読み借り手の権利を知るべき
現在はたいていの人がインターネットを使うようになっていますし、物件余りが加速する一方で借り手市場になりつつありますから、賃貸契約書は法律通りになっていることがほとんどでしょう。
ただ、借り手が自分の権利を知らず、家主や不動産屋の言いなりになって終わったら仕方がありません。
室内設備が壊れたときや、退去時には、契約書をよく読み、借り手の権利を知るべきです。
家主も不動産屋も教えてなどくれません。
気づかずにいたら損をするだけです。
対等な契約ですから、堂々と権利を主張しましょう。
貸し手市場で借り手がほとんど誰も権利を主張しないときに、主張してくれた一部の人のおかげで、原状回復費用のガイドラインもできました。
これができたために、リフォーム費用を退去者がすべて負担するということもせずに済むようになりました。
これまでも、せずに済む権利はあったのですが、その都度裁判にする必要があったりして、負担しないで済ませるのは容易ではありませんでした。
たいへんな労力を費やさなくても、システムとしてそうなりつつあるというのは歓迎すべきことです。
※全保連申込書より抜粋